SSブログ

水城せとな 『俎上の鯉は二度跳ねる』 [感想>コミック]

前巻からは随分と間が空いての発売で(携帯配信で読んでない身にしてみりゃ長かった…)、完結編です。値段だけあって結構分厚いです。ネット書店だと恐ろしく値段が高騰してるそうですね…。版元は一応大手出版社なんだし、1か月ぐらいのんびり待てば増刷分が出回ったりってのもあると思うんですがね。どちらかというと『新装版・窮鼠』の方が品薄らしいです。

俎上の鯉は二度跳ねる


読んでて思ったのは「恭一ってこんなにSなひとだっけ??」でした。『窮鼠』では猫被ってたんかい!ってな感じで。段々と性格も変わってきてるよーな。リバーシブルだとは聞いてなかったので「ちょっと待てオイ」とページが進むにつれ、一人突っ込みをしてしまいました…。個人的には「梟」で終わってても「水城さんならありかな」と納得しそうな気もします。(腹をくくれずにじたばたくだらない柵にしがみついてるようじゃ人一人幸せになんかできないと思うしね。そういう意味じゃ「身を滅ぼすから」と逃げ出す今ヶ瀬は正解だと思う。別れてから恭一も「好きだった」と言っているし。「綺麗に関係を終わらせた」という点ではいい感じだと思うけどなあ)

『俎上の~』は恭一が最初で最後の「本気」を見せた話な気がする。前巻の『窮鼠』もそうかもしれないけど、どちらかと言うと、あの時はまだ気持ち的にも手探りだっただろうし、衝動の方が勝っていた気がします。ラストの直球な台詞を言わない遠回りな告白シーンは、相手には伝わりにくいかもしれないけれど、上手いなあと思ってしまいました。

恭一が「流され侍」を卒業して成長した割に、今ヶ瀬は段々とダメになっていってますね。しかもどМだし(笑)。個人的にはたまきが今後どうなったのかが知りたいかも。BLに登場する女性が割とパセリ的存在なことが多い(酷けりゃ性格が破綻してたりするよな)のですが、彼女は色々作りこまれていた感じがあるので、ちょっと気になります。主役二人はラストのおまけコミックで何となくバカップルしてるのが垣間見えるので、そこら辺は読者の妄想で補完します。

妄想っつったら書き下ろしコミックの今ヶ瀬の妄想ぶりが笑えました…。この本読んでて沸いてきたちょっとした疑問とかもあることはあるけど(タチとネコはそうそうチャンネルを変えるが如く変われるのかとか)そこら辺は「マンガだから!」という一言でなかったことにします。

表紙イラストはどっちも何ともないので、買いやすいとは思います。(野郎のツーショットの割りには色気が余り見当たらないよーな)ただ、同じような構図に同じような色調で、タイトルの長さも似たり寄ったりなので、2冊並べられるとどっちがどっちだかわかんなくなるのは自分が年だからでしょうか。よくよく見ると壁に飾られた絵とか裏表紙の窓の天候あたりは「わかる人にはわかる」つくりになってると思います。

『窮鼠』はレディコミ掲載の割りにはエロ度が低かったような気がするんですが(見せないエロスってのもあるからねえ。)、『俎上の~』は多かったような気がする。少女マンガレーベルとは言え、BLが苦手という人にまで勧められないな、と思いました。(先が気にならないなら『窮鼠』で止めておいても、あれはあれで区切りはついてると思うし)
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。